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執筆者の写真Mikako Hayashi-Husel

ミヒャエル・エンデ「ネバーエンディングストーリー」を一緒に読もう8

更新日:2020年4月16日

前回の続きです。


テキスト

>>Aber reden kannst du doch immerhin<<, meinte Herr Koreander. >>Warum gibst du‘s ihnen nicht zurück, wenn sie dich verspotten?<<

>>Das hab ich einmal gemacht...<<

>>Na und?<<

>>Sie haben mich in eine Mülltonne geschmissen und den Deckel zugebunden. Ich hab zwei Stunden gerufen, bis mich jemand gehört hat.<<

>>Hm<<, brummte der Herr Koreander, >>und jetzt traust du dich nicht mehr.<<

Bastian nickte.

>>Also<<, stellte Herr Koreander fest, >>ein Angsthase bist du obendrein.<<

Bastian senkte den Kopf.

>>Wahrscheinlich bist du ein rechter Streber, wie? Der Klassenbeste mit lauter Einsern, der Liebling aller Lehrer, nicht wahr?<<

>>Nein<<, sagte Bastian und hielt immer noch den Blick gesenkt, >>ich bin letztes Jahr sitzen geblieben.<<

>>Gott im Himmel!<<, rief Herr Koreander. >>Also ein Versager auf der ganzen Linie.<<

Bastian sagte nichts. Er stand einfach nur da. Seine Arme hingen herunter, sein Mantel tropfte.

>>Was schreien sie denn so, wenn sie dich verspotten?<<, wollte Herr Koreander wissen.

>>Ach – alles Mögliche.<<

>>Zum Beispiel?<<

>>Wambo! Wambo! Sitzt auf dem Potschambo! Potschambo bricht, der Wambo spricht: Das war mein Schwergewicht.<<

>>Nicht sehr witzig<<, meinte Herr Koreander, >>was noch?<<

Bastian zögerte, ehe er aufzählte: >>Spinner, Mondkalb, Aufschneider, Schwindler …<<

>>Spinner? Warum? <<

>>Ich red manchmal mit mir selber. <<

>>Was redest du da zum Beispiel?<<

>>Ich denk mir Geschichten aus, ich erfinde Namen und Wörter, die’s noch nicht gibt und so. <<

>>Und das erzählst du dir selbst? Warum? <<

>>Na ja, sonst ist doch niemand da, den so was interessiert. <<

Herr Koreander schwieg eine Weile nachdenklich.

>>Was meinen denn deine Eltern dazu? <<

Bastian antwortete nicht gleich. Erst nach einer Weile murmelte er: >>Vater sagt nichts. Er sagt nie was. Es ist ihm alles ganz gleich. <<

>>Und deine Mutter? <<

>>Die – ist nicht mehr da. <<

>>Sind deine Eltern geschieden? <<

>>Nein, sagte Bastian, >>sie ist tot. <<


あまりうまくはない朗読ですが、参考までに上のテキストをドイツ人のダンナが読んでくれました。


解説

verspotten - あざける、バカにする。3人称複数現在。

haben ... geschmissen - schmeißen 投げる、捨てる。3人称複数現在。

haben ... zugebunden - zubinden 結んで締める・閉じる。3人称複数現在。

gehört hat - hören 聞く。3人称単数現在完了。

traust du dich - sich trauen ~する勇気がある、あえて~する。2人称単数現在。

der Angsthase 原意は「心配うさぎ」。臆病者。

der Streber 原意は「努力する人」。がり勉、上昇志向の強い人、立身出世ばかり考える人。

mit lauter Einsern 「1だらけ、オール1」。ドイツの成績表は1が1番よい成績で、数字が大きいほど評価が低くなります。

hielt ... den Blick gesenkt - halten + 直接目的語 + 過去分詞 ~を~したままにする。3人称単数過去。

bin ... sitzen geblieben - sitzen bleiben 留年・落第する。1人称単数現在完了。

>>Gott im Himmel!<< O mein Gott!と同様の驚き・呆れを表す間投詞。

der Versager 原意は「失敗者」。無能な人、役立たず。

auf der ganzen Linie 原意は「戦線全体で」。全く、完全に。

>>Wambo! Wambo! Sitzt auf dem Potschambo! ... 子ども特有の意味のない、響きだけで使われている言葉。

der Spinner 本来は「紡ぎ手,紡績工」。口語で、頭のおかしなやつ、変なことばかり考える人

das Mondkalb 字義通りには「月の子牛」。奇形の子牛を指す言葉(奇形は月の悪い影響によるものと考えられていたため)。口語で、バカ、とんま。

der Aufschneider ほら吹き、嘘つき。aufscheiden は「大きな包丁で大きな肉の塊を切り取って差し出す」という意味があったため、それが転じて「大風呂敷を広げる」「ほらを吹く」という意味になりました。

der Schwindler 嘘つき、詐欺師。

schwieg - schweigen 黙る、沈黙する。3人称単数過去。

murmelte - murmeln つぶやく、ぶつぶつ言う。3人称単数過去。

geschieden 離婚した。


試訳

「だが、話すことぐらいできるだろう」とコレアンダー氏は聞いた。「なんでそいつらが嘲笑ったときに言い返さないんだい?」

「1度はしたことあるけど…」

「それで?」

「奴らは僕をゴミのコンテナーに放り込んで、ふたを閉めてなにかで縛ったんだ。2時間叫び続けてようやく誰かが僕に気づいてくれたんだよ。」

「ほう」とコレアンダー氏はうなった。「それで、今はもう言い返す勇気もないというわけかい。」

バスティアンはうなずいた。

「なるほど」とコレアンダー氏は断定した「おまけに意気地なしってわけか。」

バスティアンはうつむいた。

「君はたぶんすごいがり勉なんだろう?クラスで一番で1ばかり(訳注:ドイツの学校の成績は1が最高で6が最低)で、先生たちに好かれているんじゃないのか?」

「違う」とバスティアンは、いまだに視線を下に向けたまま言った。「僕は去年落第した。」

「なんてこったい!」コレアンダー氏は叫んだ。「まったくの能無しなんだな。」

バスティアンは何も言わなかった。ただそこに立っていた。彼の腕は下がり、コートは水を滴らせていた。

「そいつらは君をあざ笑う時にいったい何をいうんだい?」コレアンダー氏は知りたがった。

「その、いろいろだよ」

「たとえば?」

「ヴァンボー!ヴァンボー!ポチャンボーの上に座ってる!ポチャンボーが壊れた、ヴァンボーは言った『それは俺の重量だった』」

「あまり面白くはないな」とコレアンダー氏は言った。「それから?」

バスティアンは少しためらってから数え上げた。「頭がおかしい、とんま、ほら吹き、嘘つき...」

「頭がおかしいって、なぜかね?」

「僕は時々独り言を言うんだ」

「一人でたとえばどんなことを言うんだい?」

「物語を考えたり、まだない名前や単語を考え出したりするんだ。」

「それを自分に語るのかい?どうしてだい?」

「だって、他にそういうのに興味を持つ人がいないし。」

「ご両親はそれについてどう考えているんだい?」

バスティアンはすぐには答えなかった。しばらくしてからボソッとつぶやいた。「お父さんは何も言わない。いつも何も言わない。あの人にとってはなにもかもどうでもいいんだ。」

「それで、お母さんは?」

「お母さんは―もういない。」

「ご両親は離婚したのかね?」

「ううん」バスティアンは言った、「お母さんは死んだんだ。」


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