top of page
執筆者の写真Mikako Hayashi-Husel

マスクの供給量がロックダウン解除のカギ

ドイツ国立科学アカデミー・レオポルディーナ(Leopoldina Nationale Akademie der Wissenschaften)の研究者たちが、現在コロナウイルス感染拡大防止のために実施されているロックダウンを解除するネックとなるのはマスクの供給量が十分にあるかどうかだという考えを示しました。


独誌シュピーゲルは4月10日の記事でレオポルディーナの研究者を引用しています。

"Die Maske muss zum sozialen Standard werden. Es muss das neue Cool und Chic sein."(マスクは社会的標準となる必要がある。新たなかっこよさ、シックとならなければいけない)

ロバート・コッホ研究所も、これまでの非感染者である一般人のマスク着用についての見解を変え、距離を取ることの代用にはならないとしつつも、一般人のマスク着用は意味があるという所見を出しました。


これを受けて、イースター前(4月9日)のメルケル首相も記者会見で保健省内にマスク等個人用防護装備の調達部(Beschaffungsstab)、経済省内に国内生産促進を目的とした「生産キャパシティと生産プロセス」対策本部(Arbeitsstab „Produktionskapazitäten und Produktionsprozesse“ )を新設したことを発表しました。

国内生産を増強拡大する理由は、現在、マスクなどは90%アジアで生産されているため、中長期の需要拡大を見込んで、国外依存度を下げ、自給率を上げる戦略的意味が大きくなったことにあります。



住民に向けた演説でも、「マスクを持っている人は、それをしたほうがよい」というようなソフトな推奨を入れました。これは3月18日の演説でマスクのマの字も出さなかったのとは対照的です。しかしながら、「距離を取ることの代用とはならない」ことを強調し、接触禁止令 Kontaktverbot が引き続き有効であり、順守すべきであることを訴えました。


先述のレオポルディーナの所見は、ドイツ連邦政府の方針の基礎となると言われているため、ロックダウンが(一部)解除されるタイミングは、マスク調達の進展と国内生産の増強にかかっていると言えるでしょう。


ノルトライン・ヴェストファーレン州首相アーミン・ラシェットが専門家チームに「厳格な対コロナ規制緩和のための条件と提言(Maßgaben und Vorschläge für Lockerungen der strengen Corona-Einschränkungen)」を作成させ、4月9日それを発表し、段階的ロックダウン解除のための議論のスタートを切りました。イースター明けの4月15日にメルケル首相と各州首相の今後の対策を決める会議が予定されていますが、ラシェット州首相はややフライイング気味ともみられています。彼は、メルケル後継候補の1人でもあるため、実績を見せる必要に駆られているのでしょうね。




サイト会員になると無料メルマガ「Mikakoのドイツ語通信」とブログの更新情報の通知をお受け取りになれます。ぜひご登録ください!

閲覧数:483回0件のコメント

Comments


bottom of page