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執筆者の写真Mikako Hayashi-Husel

Wie viel Maßband hast du noch? カウントダウンの一例

9月末日付で20年以上勤めた会社を希望退職します(定年退職ではありません)。残っている有給休暇を消化するため、9月3日が私の最後の勤務日となります。

今日、同僚たちと電話会議で雑談になった時に、「Ich zähle die Tage(私は日数を数えている。「待ちきれない」という意味)」と言うと、同僚の一人が「Wie viel Maßband hast du noch?(メジャー(または巻き尺)はどのくらい残ってるの?)」と聞いてきました。

どういうこと?

なぜメジャー(巻き尺)?

昔、まだドイツで徴兵制があった頃、連邦軍では徴兵期間の最終段階の150日間、1.5メートルのメジャーを毎日1㎝ずつ切って退役日までの日数をカウントダウンしたのだそうです。切り取った分は壁などの見えるところに貼り付けて、残り少なくなったメジャーを見えるように持ち歩いたりして、自分がもうすぐ居なくなることを周りに見せつけることで「大きな任務はもう与えないようにしてくれ」と暗に伝えていたのだとか。

この文脈では「das Maßband abschneiden」は「die Tage zählen」と同義なのですね。だから私が「日数を数えている」と言った時に「メジャーはあとどのくらいなのか?」という質問が返ってきたわけです。

同僚が親切にも説明してくれた後で「Noch 13 cm(あと13㎝=日)」と答えました。


電話を切った後に気になったのでちょっと調べてみたのですが、2011年に徴兵制度が実質的に廃止されたとはいえ、徴兵体験者は相当数いるわけですから、そういう人たちがこの「das Maßband abschneiden」をカウントダウンの意味で使い続けているようです。主に定年退職までの日数を数えるのに使うようで、言葉だけでなく実際に切り取り用のメジャー (Maßband zum Rentenbeginn) が売ってるんです!


自分のためだけのカウントダウンであればスマホのアプリなどで済みますが、周りにも見えるようなカウントダウンとなるとこういうメジャーやその他のアイテムも意味のあることなのでしょうね。

ただ、現在はパンデミックの最中で、一時のようなロックダウンはされていないものの、いまだに在宅勤務が「推奨」されている状態なので、こういうメジャーを人に見えるように貼っておくこともできません。

送別会もオンラインビデオ会議システムを使うことになります。

なんというか奇妙な時勢ですよね。


というわけで、今回は退職間際になって初めて出くわしたドイツ語表現をご紹介しました。

いわゆる Soldatenjargon(兵隊言葉)で、退役・退職日をカウントダウンする文脈で使われる特殊なものではありますが、カーニバルやイースターなどの祭日のカウントダウンにも応用されることがあるようです。でも、外国人がそれを使う機会はあまりないとは思います。私自身、20年以上ドイツの会社にいたのに、今日初めて聞きましたから(笑)

言葉というのは決して学び切ることのない奥深いものですね。














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