今回は「ひとり歩きの会話集 ドイツ語(2018年版)」(JTBパブリッシング)という本をご紹介します。
世界的な新型コロナ・パンデミックのため、ドイツ語圏に旅行に行くどころではないという方が多いだろうとは思いますが、実際に行けなくても旅行シミュレーションするのは楽しいと思いますし、ムダにもならないと思います。
本書のコンセプトは、場面ごとの会話の比重が高い観光案内・文化紹介のようで、読み物としても結構楽しめます。イラストがたくさんあり、会話・表現にも重要かどうかが一目で分かる色使いがされているため、大事なところを自分でマークしたり、長々と探したりする手間が省ける公正なのが魅力です。また、ホテル事情や交通事情、レストラン事情などの説明やマナーなどもコラム的に挿入されているので、「ひとり歩きで困らない」という宣伝文句通りの構成ですね。
目次
イラスト基本会話
イラスト早わかり
基本表現
場面別会話(入国、出国、泊まる、食べる、移動する、観光する、エンターテイメント、ショッピング、トラブル、通信、コミュニケーション)
辞書・リファランス(和独辞書、独和辞書、ドイツ語文法、資料単語集など)
会話には英語対訳もあります。ドイツ語の発音のカタカナ表記は、ざっと見た限りでは、一貫した規則に基づいており、カタカナで可能な範囲のベストなものと言えます。
場面ごとの会話にはまったくの初心者にはおそらく難しすぎて覚えられないようなものも載っており、すでにある程度ドイツ語を学習済みの方(B1/独検2級レベル)にも参考になると思います。場面に合わせた単語集も充実しているため、すでにドイツに滞在している方でも語彙を増やして生活に役立てることができるレベルです。
少し気になった点は、言い回しがやや回りくどいものがあるですね。もうちょっと簡単でよく使われる言い回しがあるのに、と思えるものが若干含まれています。
また、予約などを取り消すのに rückgängig machen / absagen が採用されている点にも違和感を持ちました。Stornieren の方が明らかに一般的なのに記載されていないのがちょっと不思議です。
場面の会話内容でちょっと疑問に思ったのはガソリンスタンドで、「満タンにしてください」とか「10ユーロ分お願いします」が載ってるんですね。もともとセルフサービスのガソリンスタンドが普通で、今では支払いも無人化の方向に向かっているのに、いつこんなセリフが必要になるんでしょう?(笑)
まあ、そういう細かいツッコミどころが少々あるにはあるのですが、基本コンセプト、構成、デザインは素晴らしいと思います。
あなたもこの本でドイツ語圏への旅行をシミュレーションしてみませんか。